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初秋の思い出 [ものかたり]

朝晩はめっきり過ごしやすくなりました。こんな日は早起きして近所の山へ行くのが常でした。まだ青い毬栗や小さなアケビのみを見つけて何時になったら採れるかなとか靴を濡らす朝露にほんの少し冷たさを感じたりしました。萩の花ももうすぐ咲きそうだし野菊だってそうだ、少し間の悪そうなタマゴタケも蝉の声だって秋に追われている。僕の手の中にある想い出の季節はそんなものだったか、故郷を離れて40年が過ぎ記憶の中だけのふるさとは現実にはあまりにも惨いほど打ち捨てられている。貧しいけれど自然と季節が豊かだったあの場所はもう消えた。さようならただそれだけを握り締めた
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