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もう一度始発列車で [想い]

半世紀近い昔のこと山間の小さな駅で
まだ芽吹きも浅い朝の始発列車で
大きな荷物を抱えて乗り込む
何処へ行くのかまだわからない
何になりたいかなんて思いもせずに
東京へと続くレールに飛び乗った
行くの駅で乗り換えただろう
そんなことさえ忘れてしまうほどに
時は記憶を削り取っていく
あのとき誰が駅にいたのだろう
手を握って手を振るわけでもなく
じっとこっちを見ていたのは
ずっと恋人だった人ではなく
子供のころから一緒にいた人
あの町はもう地図にもない


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