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黄昏がわかる [ためいき]

偉そうになんて言われる筋合いではない、なぜなら偉くないことを自分が一番よく知っているから。子供の頃から奇行で知られていた、教科書の類は家に持って帰ったことはなかった、だから宿題はしていかない、そりゃ先生からは嫌われた、だけど、友達がいないとか孤立していたわけでもないようだ。昔の友達が子供の頃を思い出して、変な奴だったけれど嫌われたりしていたわけではない。ちゃんと仲のいい友達もいて女の子からもそこそこ人気があったらしい。といっても、それは後で言われたことで、自分の変な性格が嫌いででもどうしようもなくって、結構悶々とした日々を送っていた。典型的な注意欠陥性多動性障害、今でなら容易に判断が付くが当時ではわからない。発達障害というともっと重重しい、思えば友達より一番きつい言葉を投げられたのは先生方だった。クズ、嘘つき、最低・・・どれもきつかった、我慢の限界にきたら一層ひどい言葉を浴びせられた。中学校を卒業するころまで悲しみは続いたけれど、高校生になって紛れることが増えて少しづつ目立たなくなった。だが相変わらず教科書は机の中に置いたまま、早朝から部活、放課後も部活、勉強はものすごく嫌いだった。それでも、成績はびりではない、300人中60番くらいに居座っていた。でも、どうせ何をやってもダメだからというあきらめがずっと支配した。それが交通事故にあうまで続いた、交通事故の入院半年から何かが変わったけれど、それも別にたいしたことはない。部活をできなくなって勉強にまい進したか、といえばそうでもない。部活の時間は初めての恋人のためにほとんど費やした。休みの日もデートのために學校へ行ったし、そんなことを卒業まで続けた。結局のところ流されるままの人生を生きてきただけ。大学へ行き会社勤めをして、気が付けばもう59歳、誇れるものは何もない、偉くもなければカッ、よくもない。そのまま、黄昏を迎えつつある、わかるだろうかこんな奴の人生。
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